皆さんお久しぶりです。ウメブラスタッフのエルです。今回はタイトルの通り、対戦するにあたって非常に重要な要素を占める大会ルールについて考察と解説をします。
同じゲームをプレイしているのに、大会毎に細かいルールの違いがあることは珍しくありませんが、なぜそのようなことが起きてしまうのかを考えながら今回の記事を読んでもらえれば幸いです。
絶対的に正解なルールを作るのは難しい
ルールというものを決めるにはいくつかの要素があります。それは競技性であったり、公平性であったり、エンターテイメント性であったり様々です。これらは共存するものもあれば、相反するものもあり、どれかを重視しすぎるとどれかが疎かになってしまうことがあります。
別の視点として、選手・観客・運営(スポンサー)それぞれが求めているものには当然違いがあり、その結果としてルールに変化が加えられることもあります。
以上のようなことから、絶対的な正解という結論を出すことは中々に難しいです。
大会形式について考察する
今回は大会ルールの中でもしばしば話題にあがる、勝者を決める形式について考察と解説をしていきたいと思います。代表的なものとしては、トーナメントやリーグ戦、スマブラ勢や格ゲー勢には少し馴染みが薄いものとしてスイスドローという形式もあります。
今回は馴染みが深いトーナメントとリーグ戦について比較を交えながら考察をしていきたいと思います。スイスドローについて今回は割愛しますが、面白いルールの1つであるので興味を持った方は是非調べてみてください。
トーナメント
大会形式として恐らく最もメジャーな方法であり、勝ったら進む、負けたら終わるというシンプルなルールです。
メリットとしては、ルールがわかりやすい、目の前の相手に集中しやすい、消化試合が無い、参加者が多くても一気に消化できるなどがまずあがります。逆にデメリットとしては、絶対に当たらない組み合わせがあることでしょう。また一度負けたら終わりのため波乱が起きやすいのは良い面悪い面半々といったところでしょう。
勿論波乱が起きすぎないように考えられており、有名なものとしてはシード選手を作る、ダブルエリミネーション方式を採用するがあります。特にシードの扱いは非常に重要であり、シードをどれだけうまく決めて配分できるかということが、トーナメントの出来を左右すると言われることさえあります。
シードを決める方法も多岐にわたり、その大会内で予選を行った結果で決める、世界ランク等の公の指標で決める、前回または近い大会の結果を見て決めるなどがメジャーでしょう。シードを最も大きく反映したトーナメントの形の一つにパラマス式というものがありますがここでは割愛します。
ダブルエリミネーション
トーナメント形式の1つであり、特にゲームのトーナメントで多く採用されてます。馴染みの無い方は是非この機会に覚えて欲しいルールです。
重要な点は2点であり、1つは敗者復活戦有りのトーナメントで2回敗北したら終わりということ、もう1つは勝者側で負けた相手と敗者側で当たりづらいようにトーナメントが組まれるということです。名前はダブルとエリミネートからきています。
これはEVOで実際にあったダブルエリミネーショントーナメントです。半分より上が勝者側、半分より下が勝者側で負けた人が落ちてくる敗者側のトーナメントになります。
2位の「Mang0」に注目してみましょう。通常のトーナメントであればベスト8で敗退して終わりですが、敗者側トーナメントで、勝者側でベスト4まで上がった「Plup」と2位まで上がった「Armada」を倒したことで最終順位が2位になっています。このように特定の組み合わせで負けて終わる可能性を減らすことで、波乱が減り順位がより正確に出るようになっています。
リーグ戦
総当たりとも呼ばれる形式であり、複数の人との対戦結果で勝敗を決定します。ウメブラの予選形式としても最も多く採用しています。
一番のメリットとしてはやはり、実力(総合力)を反映した順位になりやすい(ある程度の人数がいることが前提)ということでしょう。理由としては、トーナメントと違って全ての人との対戦結果から判断するためです。
また複数の人と対戦できることから、大会で多くの人と対戦したいというプレイヤーに喜ばれるというのも、運営上の大きなメリットでしょう。逆にデメリットとしては、勝利数が同じ場合の優劣をつけるのが難しい、時間がかかる、消化試合が発生するなどがあげられます。
勝利数が同じ場合の決め方は様々あり、最も有名なものとしてはセットカウント数、直接対決の結果があります。セットカウント数とは全体を見て、勝ち方が2-0か2-1か、負け方が0-2か1-2かを確認しその合計で優劣を決めるものです。
直接対決は同率のプレイヤーがいた際、その2人の直接対決で勝っている方を上にするというものです。このセットカウントと直接対決のどちらを優先するかというのも議論が尽きないものの一つです。
その他にも界隈独自のルールがあり、例えばスマブラでは勝った際の残ストック数や、負けた際の奪ストック数を記録し参考にしますし、カードゲーム界隈ではオポネント方式という、よりシードの高いプレイヤーに多く勝ってる方を勝ちとするルールがあります。
次に時間がかかることをイメージするために具体例を示します。例えば4人・6人・8人・10人で順位を決める場合、リーグ戦とトーナメントの場合それぞれ以下のようになります。
- 4人:リーグ戦は6試合 トーナメントは3試合(ダブルエリミは7試合)
- 6人:リーグ戦は15試合 トーナメントは5試合(ダブルエリミは11試合)
- 8人:リーグ戦は28試合 トーナメントは7試合(ダブルエリミは15試合)
- 10人:リーグ戦は45試合 トーナメントは9試合(ダブルエリミは19試合)
上にも書いたとおり、リーグ戦である程度実力を反映させるためにはリーグ内の人数を増やす必要がありますが、そうすると試合数が物凄い勢いで増えることがわかると思います。その結果2本先取で全試合を行う時間が取れず、実力の反映が不十分になるという悪循環が起こります。
総括すると、実力が出やすく順位を正確につけるのには優れているが、トーナメントと違い勝ち負けの結果以外の部分でのやり取りが発生することや、時間がかかる等の対戦外で色々と面倒な部分があるというデメリットが存在するということが特徴です。
まとめと私の好み
いかがだったでしょうか。今回は大会ルールのうち、勝者を決める方式に絞って考察と解説をしてみましたが、これ1つを取ってみても様々な思惑と様々な工夫がされているということがおわかり頂けたのではないでしょうか。
大会ルールというものは常により良いものに変化し続ける必要があると私は考えているため、疑問を上げたり客観的な意見を出していくことは重要です。参考に私の最も良いと考える大会形式を紹介します。
1次予選をリーグ戦、勝ち上がった人で2次予選をさらにリーグ戦で行い(リーグ戦は2本先取or3本先取)、その後ダブルエリミネーション方式でトーナメントを行うのがバランスの良い形ではないかと考えています。実際にこの形式で行われた大会としては、昨年末に行われた2GGのChampionship、スマブラX時代のAPEXなどがあります。
皆が好きな方式で毎回やることは現実問題難しいですが、これからもより洗練された方式にゲームの形に合わせて変化し続けていくことでしょう。