ウメブラSPで見えたスマブラ競技シーンにおける『観戦文化』の変化と展望

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皆さんこんにちは。ウメブラスタッフのエルです。

先日行われたウメブラSP5のGF観戦があまりにも熱かったため、みんなで見て楽しむ観戦について書きたくなり今回は筆をとりました。

唐突ですが、最近のスマブラ界隈では割と当たり前の光景になっている、人の試合をみんなで見るいわゆる観戦について、皆さんはどうお考えでしょうか。

私自身は観戦については昔から色々と思うことがあり、スマブラ界隈の観戦文化について、一度まとめて文章として書いておきたいと考えていました。

過去作からオフ大会に参加している私自身の主観が、多分に含まれた内容となりますがどうか最後までお付き合いください。

スマブラ界隈のさらなる発展に向けて必要な観戦文化

今回なぜ観戦という内容をコラム的に書く必要があるかと考えたかというと、観戦という文化が界隈のさらなる発展に必要不可欠な要素と考えているためです。

昨今「eスポーツ」等と言われることも多くなりましたが、多くのスポーツでは参加する選手以上の数の観客が会場に駆けつけることが殆どです。

実際にeスポーツ界隈の頂点に君臨している「League of Legend」や「Dota2」では、プロの試合を見るために物凄い数の観客が集まるという形が出来ています。

海外での話になりますが、昨今のEVO等での盛り上がりを見ていると、スマブラでもそんな日が来てもおかしくはないと考えています。

先日行われたTGSでのSmashlogメンバーが登壇した際の盛り上がりも聞いていますが、まさに選手がある種のスターとなる時代が近づいています。

それでは未来について語る前に、今までのスマブラ界隈での観戦文化はどうだったか振り返っていきたいと思います。

過去作からの観戦文化の変容

スマブラX時代

私が初めてオフラインの大会に参加したのは、今作から2作前のスマブラXのときでした。

当時を振り返ってみると、大会に来る人とはイコール大会参加者のことであり、見学枠というものもありましたが、基本的には無いに等しい状況でした。

そんな環境を考えると当然といえば当然ですが、大会とは基本的に普段の対戦の延長線上にあるイベントであり、他人の試合を見るということはありませんでした。

勿論特別なマッチアップや、とても仲の良い友達の試合を観戦したり応援するということが無いわけではないですが、そういうのは例外中の例外です。

私の記憶としては、大会を通してずっと試合にギャラリーが集まる大会は、3on3のような団体戦の大会だけだったというのがX時代の印象です。

スマブラFor時代

スマブラFor時代になると現在とはかなり違うものの、風向きは少し変わってきました。

理由としてはいくつかあると思いますが、大きな理由は配信が盛んになり試合を見る機会が増えたことと、特定のプレイヤーにファンがついたことだと考えています。

海外遠征では日本人のTOP8進出者をみんなで応援したり、九州の修羅ブラでは観戦が楽しいということが1つのウリになるというようなことが起きたことを覚えています。

しかしそれは一部だけの話であり、ウメブラの実情を見てみると、決して観戦文化が多くの人に根付いていたわけではないことを記憶しています。

そのためウメブラではForの時代から観戦文化を根付かせるために、TOP4で会場を暗くしてフリー対戦を禁止したり、演出を行ったりすることを始めました。

これはウメブラのスタッフには海外遠征者が多く、EVOやGENESISなどの現地の盛り上がりを日本でも再現させるためにどうすればいいか試行錯誤をしていたことも理由です。

みんなで試合を見て声援を選手に送り、大会を盛り上げるという会場の一体感を作ることが、大会に来た人の満足度に最終的につながると考えていました。

余談ですが、アユハさんの「勝者側決勝です!」もその中から生まれてきたパフォーマンスの1つになります。

しかしながら理想と現実は大きく違い、アメリカの「USA!USA!」のような盛り上がりが起こることはなく、撃墜の際に軽く拍手が起きるの盛り上がりしか作り出せませんでした。

また、フリー対戦を止めると帰宅する人も多く、大会後にフリー対戦を禁止することに対する苦情の意見も数多く寄せられていたのを覚えています。

スマブラSP時代

さて時代は現在へと戻るわけですが、現在のウメブラを見てみると、多くの試合にギャラリーが沸き、会場の至るところで盛り上がっています。

これは体感だけでなく、実際に数字やプレイヤーの発言にも現れてきており、自分が感じた例をそれぞれ紹介しておきます。

見学のみのオーディエンス規模の拡大

数字の紹介として、現在の大会の見学枠は多い時で200人程度確保していますが、これが1時間と経たずに埋まってしまうことが最近では珍しくありません。

昔は見学枠といえば参加枠の補欠的な扱いがあり、漏れたプレイヤーが念の為確保するため参加するという面がありましたが、現在は大会の途中参加は出来ないにも関わらず埋まります。

実際に申請に寄せられたコメントや、Twitter等を見てみると、「ウメブラという大会を見たくて見学枠を取った」という人が数多くいることがわかります。

プレイヤーの意識の変化

またプレイヤーの発言の紹介として、最近は前の大きなスクリーンで試合をやりたいから、待ってでもいいからどうにかならないかという相談をよく受けます。

この背景には、多くの人が試合を見て盛り上がっているという環境があることは間違いなく、そういう場所でプレイしたいという選手が多くなってきています。

TOP8やTOP4の試合では、全体のフリーを禁止していないのに、多くの参加者が対戦をやめ観戦に駆けつけ、その日を勝ち上がった強豪の試合にエールをおくります。

数年前の自分に言っても信じてもらえないような、海外の大型大会の盛り上がりに近い環境が日本でも出来つつあるのを感じています。

未来へ向けて

現在のウメブラでの観戦の盛り上がりはとてもいい状態にあると思っています。

これは実際に楽しんでプレーをし、観客を魅了する選手と、それを自然に受け止めて盛り上がれる観客という構図がいい形で出来てきているためです。

最初の触れたウメブラSP5のGFでは、対戦している両名はとても楽しそうにプレイしていましたし、観客も物凄い声援と試合終了後には涙を流す人もいました。

今後これがうまく発展していくことができれば、見学枠を増やすという方法で大きな会場を取るという選択肢も視野にいれることが出来ます。

1日に消化できるトーナメントの人数には限りがありますが、観客を増やし大会参加者以外の人数を増やすことができれば、大きな会場を埋めることも可能です。

今度どのような方向に進むのか読めない部分もありますが、良い形で発展していくことを祈っています。

写真提供
Darimoko/だりもこ
HP:https://darimoko.smugmug.com/Evo2019
Twitter:https://twitter.com/darimoko

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