日本最大級のスマブラ非公式大会「ウメブラ」はどのようにして成長してきたのか

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皆さんこんにちは。ウメブラスタッフのエルです。

今回は「ウメブラ」という大会がどのような軌跡をたどって現在の状態になってきたかを紹介します。

今や国内でのオフ大会関係者では知らぬものなし、海外でも多くの人に認知してもらえていると自負しているウメブラですが、勿論最初からそうではありませんでした。

この記事が、現在大会を開いていて今後どうしようか迷ってる人、今後大会を運営してみたい人の参考になってもらえれば幸いです。

ウメブラの誕生

ウメブラという大会は、現在のスマブラSPから遡ること2作前の作品である、スマブラX時代に千葉で生まれました。

※上の写真は記念すべき第1回大会が行われた船橋アリーナです

当時から主催は現在と同じうめきさんではありますが、形としては当時関東でRAINさんが主催していた別の大会から引き継ぐような流れで誕生しました。

設立当初は私自身がウメブラスタッフとして活動していたわけではないので記録を辿るしかないのですが、スマブラX時代のウメブラの大会規模は以下でした。

  • 第1回大会 48人規模
  • 第5回大会 48人規模 ※X最後のウメブラシングルス
  • 第7回大会 60人規模 ※X最後のウメブラ(3on3)

今しか知らない人には信じられないかもしれませんが、当時はシングルスで50人を集めることがギリギリの状態で、最後の大会も実は満員になっていません。

誕生について知ると同時に、ウメブラも最初から大規模大会ではなかったということが分かっていただけたかと思います。

ウメブラの成長期

ウメブラという大会は、前作のFor 3DS/Wii U時代に大きな成長を遂げています。

南関東地方という地の利があったことは否定できませんが、それを抜きに考えたとき、どのようにしてウメブラという大会は大きくなっていったのか語っていきます。

私自身も前作の初期からスタッフとして参加していますが、中から見ていて成長出来た大きな理由は以下の3つのおかげであると思っています。

  • 成長できるタイミングをうまく掴んだ
  • 新しいことにチャレンジしてきた
  • スタッフが面白いと思うことをやってきた

それぞれについて、実際に象徴的となった大会を例にあげて紹介していきます。

成長のチャンスを掴んだ第8回ウメブラ

当時大きく話題になった上の動画を見たこのある人は多いのではないでしょうか。

これはウメブラの1つの大きな転機となった大会である、スマブラ3DS時代に行われた第8回ウメブラです。

今となっては違和感ないかもしれませんが、3DS版のスマブラが発売してからわずか10日ほどで開催されるという当時としては異例の大会でした。

また参加者の拡充にも大きくチャレンジしており、前作の最後の大会が60人規模だったのに対し、この大会は約3倍の170人で開催されています。

増やした背景としては2つあり、1つめは新作で人が増えているに違いないという大胆な読み、2つめは3DSということでスペースを広く活用できるという機器の利点です。

当時大きくても96人規模が主流だった界隈で、これは1つの博打とも言えるものでしたが、この開催に見事成功し関東にウメブラ有りという存在感を見せつけました。

今作スマブラSP最初の大会で、大人数の大会(760人規模)にチャレンジしたのもこの時の経験からくるものでした。

新しいことにチャレンジしたウメブラFATとウメブラJM

ウメブラFAT編

第8回大会で大きく参加人数を増やすことに成功したウメブラですが、それから約1年後である第19回大会までの約10回の大会で目立った変化はありませんでした。

参加人数こそ200人弱で安定しており、大会も1月に1回前後のペースで開催していましたが(単純に考えるとこれだけでもすごいことですが)、逆に言えばそれだけでした。

そんな状況の中、海外勢を招待して2日開催で大きな大会がやりたいというウメブラ内での新しい試みにチャレンジしたのがウメブラFAT(First Anniversary Tournament)です。

スマブラ大会の歴史に詳しい人であればピンと来た人もいるかもしれませんが、これはスマブラX時代のSRT(Sun Rise Tournament)を参考にしています。

今でこそ海外のトッププレイヤーが日本に遠征することは珍しくなくなっていますが、この大会以前に日本のオフ大会に海外のトッププレイヤーが遠征してきたことはありません。

※スマブラX時代にはSRT スマブラDX時代にはJack Gardenという大会がそれぞれ一応ありました

海外のプレイヤーと直接TwitterのDM等でやり取りをしてお願いした結果、NairoとAllyとVinnieという3人のトッププレイヤーが遠征してきてくれることになりました。

大会結果としては優勝含む9位タイまでに3人とも入られるという悔しい思いをしましたが、大会事態の参加人数は大きな話題を呼び一気に313人まで増え大盛況のうちに終了しました。

その後アニバーサリーイベントは恒例行事となり、SATやTATと引き継がれていきました。

ウメブラJM編

多くの日本人選手が頭角を現し活躍した2016年~2017年ですが、大会の主戦場は北米大陸でした。

大会の規模も段違いに大きく、PGRでS認定やA認定されるいわゆるメジャー(スーパーメジャー)大会は北米大陸だけのものでした。

そんな状況を変えるべく、日本でもA認定以上の大会を開きたいとチャレンジしたのがウメブラJM(Japan Major)です。

Japan Majorのメジャーという名前は、“日本でもMajorクラスの大会を開く”というウメブラスタッフの意気込みからつけられた名前です。

とにかくできるだけ人数を呼びたいということで、参加人数は上限なしで一旦設定して募集したのですが、350人前後から中々増えず日本のスマブラ人口の限界を一時感じました。

参加者が集まらなくて困るという今では考えられないような事態ですが、とにかく参加者を増やしたい一心で、SNSや色々な大会や口コミでの呼びかけを繰り返し参加者を募りました。

当時の日本スマブラ人口の限界にチャレンジしたとも言えるこの大会ですが、最終的には476人という日本スマブラ史上最大を更新した大会を開催することができました。

大会の認定も、目標であるA認定をもらうことに成功し日本で遂にメジャー大会を開くことに成功しました。

ウメブラが名実ともに世界トップクラスの大会に仲間入りできた瞬間であると私は考えています。

※スマブラFor Wii UでA以上の大会が北米大陸以外で開かれたのはこの1回のみ

また当時この大会では色々な試みが他にもされており、その内容が当時のレポートにまとめられていますので合わせて読んで頂ければ幸いです。

ウメブラJapan Major 2017レポート

スタッフが楽しいと(やりたいと)思ったことにもチャレンジしたウメブラFINAL For Wii U

ウメブラはスマブラ界隈の需要に応えるようなイベントを開くというのは勿論ですが、それだけではなくスタッフが楽しいと(やりたいと)思ったことにもチャレンジしています。

例としてはいくつかありますが、それの1つの集大成とも呼べるイベントが、ウメブラFINAL For Wii Uです。

記憶に新しいこのイベントですが、最初からこのような形になったわけではなく、最初あったのは漠然とWii U最後の大会はウメブラで締めたいなっていうビジョンだけでした。

そもそも新作発売を1週間後に控えたこのような日程になったのも、大会会場が10月や11月にいいところで取れず、偶然この日程が確保出来たという背景があります。

勿論この日程を全く狙っていなかったというわけではありませんが、このことからも最初から全て計算されたイベントではないことがわかるかと思います。

しかしながら、企画をしていく中でスタッフの中から、折角だからあれもしたいこれもしたいという意見が次々に出てきて、気がついたらあの壮大なイベントが完成していました。

結果としてはウメブラJMを超える669人の参加(2日間で会場に来た人は述べ1500人弱)と、Wii U史上最高記録を更新しました。

少し裏話をすると、金銭面ではウメブラFINALは結構な赤字を出してしまったイベントであり、少し採算度外視というところはありました。

それでもこの大会は大会としては大成功だったと個人的に思っていますし、開催してよかったと今でも思っています。

理由としてはスタッフの良い経験になったし、この大会をきっかけにウメブラを知りSPのイベントに参加したという人の声を多く聞くからです。

中々ブレーキをかけずに突っ走ることは難しいかもしれませんが、たまにはこういうイベントを開くのも悪くないなと考えさせられました。

【スマブラforWiiU】ウメブラFINAL開催に至るまでの軌跡

ウメブラのこれからについて

ウメブラがこれから何を目指していくかというのは、スタッフ間でも1つの大きな課題です。

今まではがむしゃらに日本最大の大会を目指す、世界のトップクラスに並ぶという目標がありましたが、それに関しては現状ほぼ達成しつつあります。

現状はウメブラに所属しているスタッフがそれぞれ、個人や団体で色々なことにチャレンジしてこれからのことを模索している段階です。

1つとして、ウメブラが今度どのような形に進むにしても色々と動きやすいように、一般社団法人「令和トーナメント」を設立しました。

ウメブラのメインスタッフであるぬくぬくさんをはじめ、数人のスタッフは初心者向けの講習会であるアマブラをスタートしました。

また、ウメブラスタッフとしても精力的に動いてくれているてんぷらさん達は、独自の方向性でレベルの高い大会をとEGS Cupをスタートさせています。

これらの中から、また新しい発想や、面白い意見が続々と出てくると期待していますが、私個人の考えを1つ述べておきたいと思います。

現在日本のスマブラレベルは世界トップクラスであると思っていますが、やはり最強という意味では北米大陸に一歩遅れをとっていると思います。

私としては、やっぱりスマブラの世界最強は日本が取ってほしいという思いがあります。

そのため、今後どういう方向性に進むとしても、世界トップで活躍できる選手をウメブラから作るというビジョンだけはぶれないように進んでいきたいと思っております。

また現状参加できない人も多いため、より大きな会場でより沢山の人を呼んで、日本スマブラ界全体のレベルアップに貢献できるよう解決策を模索中です。

まとめ

今になって振り返ってみると、スマブラFor 3DS/Wii U時代は挑戦の連続であり、それはSPとなった今でも続いています。

大会を開くこと、そしてそれを維持していくこと、それだけでも大きな負荷がかかる大変なことです。

それをより成長させていくためにはどうすればいいかウメブラのこれまで行ってきたことが、大会に関わる人の参考に少しでもなれれば幸いです。

「現状維持とは緩やかな衰退である」という言葉にもある通り、現状に満足せずチャレンジしていく姿勢を今後も取っていきますので、ウメブラを今後とも宜しくお願いします。

写真提供
Darimoko/だりもこ
HP:https://darimoko.smugmug.com/Evo2019
Twitter:https://twitter.com/darimoko

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