努力VS才能 自身の経験と界隈のプレイヤーから考察するゲームへの適正とは

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皆さんお久しぶりです。ウメブラスタッフのエルです。今回は題名の通り、努力と才能はどちらがゲームをやる上、つまり勝つために重要な要素を占めているかについて語ってみたいと思います。

私自身の経験と、今まで関わってきた数々のプレイヤーを見ての完全な持論になりますので、共感してくれたり逆に自分の考えとは違うなって考察してもらえれば嬉しいです。

ちなみに最初に立場を明らかにしておくと、私はゲームにおいては完全にやり込みは裏切らない派の人間です。

例外はあれど、基本的にはその時に一番やりこんでる人から大会は上がってくると思っていますので、以下そういう視点で書いていきます。

似たようなコラムとして、Shogunさんが理論と感覚という記事を書いています。実はこの記事を読んで私は今回のコラムを書こうと思いましたので、この手の話題が好きな人は合わせて読んでみてはいかがでしょうか。

ぶっちゃけ才能の差ってある?

まずは最初に前置きとして、才能の差って本当に人によってあるのかということについて述べようと思います。

ゲームをプレイする上で私が考える才能とは様々あります。

例えば反応速度や集中力や記憶力が良い、並列処理が得意、長時間ゲームをやる体力がある、目や耳が良い、手の形や大きさや力が適している等などはすぐにあがってくるのではないでしょうか。

巷ではプレイヤースキルと呼ばれることもあるこれらですが、勿論プレイしている人間が違うのだから人による差は当然あると考えています。

ここまでを読むと、じゃあやっぱり才能で差が出るって思いがちになります。確かに友人とワイワイやったり、初見で何も知らずにまったりとプレイする場合はこの才能の差が見えやすい、というか殆どこれらの差で決まってしまいます。

しかしながら競技として本気でやるという場面に置いては、人によって才能の差はあるという前提の上で、それは実際の勝敗に影響を殆ど及ぼしておらず、勝敗に関わるのは圧倒的に努力、つまりやり込みの差というのが私の考えです。

才能ではなく努力の差で説明がつくのか

ゲームをやる上で上手い人とやると、誰もが次のようなことを感じたことがあるのではないでしょうか。

反応早すぎて何も通らない判断上手すぎて火力が違う操作精度高すぎて自分では絶対に真似できない

これらの経験から、自分と上手い人は才能が違って住む世界が違うって思いがちですし、私自身も昔そういう経験をしました。

しかしこれらは本当に才能の差なのでしょうか。私自身のゲームをやりこんでいた経験や、多くの上位プレイヤー達と意見交換を今まで行ってきた知識から言わせてもらうと基本的には違うことが多いです。

ある程度やりこんでいくと以下のようなことがわかってきます。逆に言えばこれらに共感できる人はそこそこ何かのゲームをやりこんでると言えるのではないでしょうか。

反応が早いって本当?

例えば反応が早いと思っていることの多くは、自身の対戦経験やそのゲームのプレイヤーの傾向、果ては個人の使い手の癖から行動を誘導されて相手プレイヤーに作業されています

結果として、相手側は一部の行動にしか意識を割かなくてよいため、多く(すべて)の択に意識を割いている格下プレイヤーより早く反応できるのです。

全部見てから行動できるプレイヤーなんて基本的には幻想で、ほとんどがこの意識配分の差であることが多いです。何も攻撃が通らないのにはそれなりの理由があります。

ほとんど最適解を返してくるのってなんで?

判断がうまいプレイヤーは、基本的にしっかりとシステムやキャラクターを研究し、どの場面ではどういう行動が最適解なのかをしっかりと整理しています。「あっ、これ進◯ゼミでやったところだ!」ってやつですね。

そのためにしっかりとした研究による知識、自らトレーニングや実戦で試した反復練習に支えられてることがほとんどです。全部その場その場で最適解選べるような化物は基本的にはいません。

操作精度ってなんでこんなに差があるの?

この流れで想像がつくかもしれませんが、操作精度の高いプレイヤーも基本的にはしっかりと練習をしているからです。

勿論人によって得意不得意はあると思いますが、難しい行動は誰がやっても難しいので、基本的にはできるようになるまで反復練習するしかありません。

リビングザゲームというドキュメンタリーでは、大会の一回のただ一瞬を想定して何百回も何千回も同じ行動を練習するももちさんのシーンがありましたが、他の上位プレイヤーも見えないところで同じことをやっているはずです。

どうでしょうか。実は上手い人は才能だけではなく、裏に隠された膨大な努力で駆け上がっていることがわかって頂けたのではないでしょうか。

実はこのような考えに至ったのには自身の経験だけでなく、上にも書いたとおり上位プレイヤーの実態を見てきたことも大きな理由です。

努力が報われるか不安なプレイヤーのためにいくつか紹介していきます。

スマブラの上位プレイヤー

今作の前作であるスマブラX。これの中期から終期にかけて東西それぞれに怪物プレイヤーがいました。ご存知の方も多いと思いますが、9B・にえとのの二人です。

二人とはよく一緒に対戦や話す機会がありましたので、当時のことに触れたいと思います。また今作をやる上で必ず話題に上がるZeRoについても触れていきます。

9B

今作や前作で彼と関わったことのある人はご存知かもしれませんが、究極のやりこみ型プレイヤーで、発売から新作が出るまで飛行機での長距離移動等の例外を除き、一日もプレイを欠かしたことのないというすごい人です。

また圧倒的実力者であるにも関わらず、対戦環境のある場所では誰よりも貪欲に対戦を行い、また自分の面白いと思ったキャラクターや行動を信じて研究し取り入れるということも欠かさない人でした。プレイや考察に費やした時間は誰にも負けないを地で行く人です。

にえとの

何より研究熱心なプレイヤーです。エピソードして、彼はフリープレイで負けた試合のリプレイを何試合も撮り、家に帰って何度も見返して考察していました。

また大会で撃墜技(格ゲーで言うと重いコンボの始動技)をくらった場面はすべて覚えているとのことで、なぜそういう流れになったかを必ず振り返ってしっかりと考察するそうです。

操作面でも自分で考えて納得がいく理にかなった行動しか信用したくないため、そのための研究をしっかりと行うし、操作ミスをしたくないからと難しい操作の反復練習を妥協せずにやっています。

ZeRo

スマブラに対して大変ストイックなプレイヤーです。

当時すでに世界最強と言われていたZeRoが闘会議のために来日した時のことですが、朝起きて部屋に行くと、既にZeRoは起きて近い日程で行われていた大会の上位の動画を1つ1つチェックしていました。

異国の環境でしかもイベントの前だというのに、前の日の晩飯で寿司に浮かれた雰囲気は微塵も感じさせることのなく、決められたことのようにずっとやっていたのが印象に残っています。

また、初めてEVOにスマ4が採用された年も、初のEVO種目&カスタム(変則ルール)有りでどこか浮かれた雰囲気がプレイヤーの中に漂う中、彼は大会の数時間前から秘密の調整があると対戦相手を一人連れて部屋にこもって大会まで出てくることはありませんでした。

さらに次年のEVO前は苦手キャラを克服するために単身来日し、強行日程で多くのプレイヤーを指定してずっと対戦を行ってるというエピソードもあります。

他のゲームの上位プレイヤー

スマブラ以外の格ゲーはどうなのか。成績やプレイだけをチラ見したらどう見てもただの天才にしか見えないGO1さんに取り組みについて伺う機会が幸運にもありましたので、ここで紹介いたします。

GO1

鮮やかなプレイ、器用に様々なゲームをやりこなす姿とは裏腹に、見えないところでたゆまぬ努力と、自らへの課題設定やゲームへの考察を怠らない努力のプレイヤーです。

プレイ時間だけを見ても、10時間以上練習をすることは稀なことではなく、しっかりと練習時間を取っているとのことです。

ゲーム中の要所要所で見られる反応や判断も、難しいと思う行動を一つ一つ課題を決め(例えばDBFZなら空中からの行動に対する意識、投げ抜けに対する意識、確定で抜けられる場面の意識と順に練習している)しっかりと時間をかけてクリアした結果とのことです。

4人のプレイヤーを紹介しましたがいかがでしょうか。

それぞれ少しずつ違いますが、共通していることはある一定以上のしっかりとした練習をしていること、自分の価値観や方向性を持って時間を賭けて取り組んでいることがあることではないでしょうか。強豪たちの裏の一面が伝われば幸いです。

努力し続けることこそが一番の才能

最後になりますが、努力すれば勝てると言うのは簡単ですが、努力するという行為自体は簡単ではありません。

楽しいことばかりではないですし、方向性を間違えれば無駄になるかもしれないという恐れも当然あると思います。

そんな中でもやっぱり人より抜けて努力できるプレイヤーこそが強豪たる所以であり、ゲームにおける一番の才能とはずっと変わらず情熱を傾けて努力できることなんじゃないかと最近感じることが多いです。

遊戯の世界で圧倒的な大先輩であり、私の尊敬する人である羽生竜王の名言にまさにこれと言ったものがありましたので最後に紹介してしめにいたします。

羽生竜王「私は才能は一瞬のひらめきだと思っていた。しかし今は10年とか20年30年を同じ姿勢で同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている」

上の言葉が、何十年もトッププレーヤーであり続ける人の発言であると考えるとなんとも深いです。

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